京都に行こうと思い立ったのは、三連休の初日、つまりは出発の日の朝だった。何の予定もない三連休の初日、昨夜の酒もほとんど身体から姿を消していた。さて、どこで何をしようかとスマートフォンをいじっていたら、京都に雪が降るかもしれない、ということを知った。そうだ、京都、行こう。あのテレビコマーシャルのように思い立たった。
博多駅を14時頃に出る新幹線に乗り、京都へと向かう。博多から京都までは3時間弱の道のりだ。乗り物に長時間乗ることは好きだから、苦にならない。福岡出身の作家である白石一文さんの文庫本を読みつつ車窓を眺めていたときに、いささかまずいことに気がついた。京都で泊まる宿がない。スマートフォンで探す。1人で写真を撮りに出かけるだけだから、安いビジネスホテルで良いのだが、空きがない。そんなことをしているうちに、とうとう新幹線は京都に到着した。仕方がないから、新幹線を降りると、京都は思っていたほど寒くなかった。去年の3月に来た時の方が寒かった。もちろん、雪も降っていない。

結局、京都駅のコンコースで安いホテルを予約。よく見たら、バス・トイレが共用だった。まあ、いいか。それから駅を出てホテルにチェックイン。部屋はベッドと洗面台という最低限の設備だが、非常に綺麗だ。全く問題ない。
少し休んでから、カメラバッグの中身を軽くして外へ出た。まずは京都駅へ行き、551蓬莱に並ぶ。豚まんが食べたいのだが、2つセットからでないと購入できないため、今回はちまきと焼売にする。が、店員さんが突如として「豚まん一つからありますよ」と不埒なことを言ってきたため、誘惑に負け即購入。駅前のベンチで食べるが、豚まんに辿り着く前に満腹になる。これは困った…蓬莱の豚まん持って公共交通機関に乗るなんて、考えただけでもゾッとする。そこで思いついたのが、カーシェアの利用だった。車をピックアップして、東山へと向かう。産寧坂、二年坂のあたりだ。到着してしばらくすると、予報通り雪がちらつき始めた。本当に小雪程度で、思っていたほどの降雪ではない。
夜の、それも小雪がちらつくこの辺りは、人気もなく、オレンジの街灯が石畳に反射してとても良い。静かな京都、である。普段人で賑わう場所の人気ない姿というのは、なんだか落ち着く。

満足すると、次は祇園へ。

もう雪は殆ど降っていない。それでも、京都は絵になる街である。祇園を歩き回り、段々と眠くなってきたところで宿に引き返したのだった。